幻覚……じゃないですよねこの舞台

2.5を中心に舞台をみた感想などをつぶやいています。

2023.07.01 13:00- クロードと一緒に (初日)

@横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール ・ 小雨烟る空の重い日でした

 

自己紹介

 

  • 進撃の巨人で松田さんを知った
  • BL好き しかも死の匂いのする二人が好き メリバも大好き~~~~~~~~~~
  • 好きな作品の地図とか年表とかを作るのが好き。
  • クロードと一緒に のシリーズは初めて!

期待値

  • リヴァイを演った方の思い入れがある作品ときいたので! 過去作の評判をみると本当に心身を投じて演じてらっしゃるエネルギーを感じたし、松田さんのファンの方や事務所の方も大事にされている作品と感じていました。
  • あと男娼という設定、ややミステリー風味なあらすじに惹かれて
  • 2015年日本中を絶叫させた「実写進撃の巨人」の名シーン、「大声を出すな~~~!(大声)」のユノヒラ教官が刑事役だったのでウキウキよ!!!!
  • 公式で地図を用意してくれるって天国ですか!? 気合入ってるな~~



内容関係ない信煙弾

  • 席:B列 10番台 ステージを3方で囲むように配置された客席の、正面側 でした。 目線の高さでめちゃくちゃ見やすかったです。「彼」の目がこちらを見ているようで鳥肌でした。 椅子が固いぜって弱音を吐いてたんですが、場所によってはもっと硬い椅子があったらしく(ソワレ友人からの情報)、腰が破壊されない工夫が必要かも。
  • 寒めの温度設定。 心配な人は羽織物あったほうがよい。
  • ギフティングはお手提げももらえるよ
  • 当時の現地ではゲイは違法ということは知っておいたほうが動機がしっくりくるとおもう
  • ロケーション完璧 舞台のモントリオールの空気感を感じられるように、こだわりがあったのもうなずけます。もう一歩入った瞬間かスイッチ がはいるというか、うっとりしちゃいました。モントリオールで撮影した写真なども飾られていてみごたえあるので早くくるといいよ~~~
  • 刑事の手書きの地図、が配布されているのですが、劇中は暗くて読めないので地図クラスタは先に頭に入れとくと吉。(わかんなくても問題ない あくまで趣味だけど知ってるとノイズにはならんかな)
  • グッズ販売の時点から鈴木ハルニさん演じる警護員が見回ってます かわいいな



ここから!!!物語の核心にも触れるので!!ネタバレ少しでも嫌な人は非推奨です!




1総括

 

  • 観たらご飯が食べられなくなるときいていましたが、私にとっては「うまい!白飯5杯ください!」みたいなエネルギーに溢れた鑑賞の後味でした。

 

1ビジュについて

 

  • 松田さん・・・ブルーブラックの短髪に、タンクトップ、デニムの上下、くたびれたスニーカーで出てきたときに「ヨッシャ」となってすみません。素敵でした。筋肉がついていて、 パンフレットの「彼」よりはたくましい印象でした。演技の方向性はなんとなく、「聖なる怪物」よりかな……? クロードの中にある幼児性(未熟さ)の表現、すすり泣きや怒りの表現、若くして性行為を覚えた妖艶さのアンバランスさの表現の表現力がすごくで、見ごたえがありました!
  • 神尾さん・・・実写進撃から8年……す、すてきなイケオジでございました疲弊した刑事、そして先入観やいらだちを自然に表現できるのかっこいいなあと ジャケットを脱いだときに、ウェストコートに銃のホルスターのベルトが……!心中で「ヨッシャ!!!!!」ってなっちゃいました。この世に、イケオジの白シャツ腕まくり銃ホルスターが嫌いな人いるの?!(強気)



1会話劇の妙……エグい量の会話が飛び交うのがスリリング


まず……セリフ量、エグ過ぎ。 会話劇……情報のほとんどが会話で展開します。
刑事さんも、「彼」も すごい量の会話をかわすから、役者さんはすごいなあ……と圧倒されました。
初日なので硬さや言い直しもあったと思うけど、熱量がほとばしっていると感じましたし、照明や音楽も工夫されていて、セリフが多いにも関わらず没入感は満点と感じました。
役者さんの基準ではもしかしたら悔しいこともあるかもしれないですが、この荒々しい熱量は初日ならではでした。

舞台では、刑事と「彼」の対話を通じて物語が進んでいきます。刑事はクロードの死を調査する役割を担い、同時にイヴの心の中に秘められた動機を解き明かそうとします。
しかし……!!
「「彼(イヴ)」がなぜクロードを殺したのか?」という動機がなかなかわからないような脚本!途中、情報量にふりまわされたけど、総じて楽しかった!

刑事さんの過去の犯罪者たちから得た経験値からくる先入観と、
「彼」の心の奥底にある思惑が謎めいた要素やミスリードを産み、物語に緊張感と魅力が生まれたと感じました。

・「「彼(イヴ)」が裁判で有罪をさけるために、薬でラリっているふりをしているのでは?」
・「「彼(イヴ)」が自首してきたのに判事の部屋に立てこもっているのは、判事が「彼(イヴ)」の客(ゲイかつ買春の罪)なので、脅して無罪を勝ち取ろうとしているのでは?」
という2つの疑いを刑事がもつので、私もどこまでが「彼(イヴ)」の本心なのか……というドキドキ感がありました。
またね~~~「彼」はとりとめのない幻覚の様なことをいってるようで、それでいて現実とリンクしたようなことも言う不思議な男なんですよ~~~ふりまわされる~~~~! まだ一回しか見てないから確信はもてないけど、結構本当のこといってるんだよね。
・「彼(イヴ)」がクロードを単なる客としてでなく、(つまり、強盗目的などなのではなく)、愛していた相手として認識していたことに触れられたのが中盤以降だったのと、「愛しているのになぜ殺したのか?」という疑問に関しては、「彼(イヴ)」独特の価値観があったことも、なかなか「彼(イヴ)」の愛情を確信できなかったのもハラハラした要因のように思いました。

おもろい脚本だな~~~~
このへん、情報量が多いから、二回目みるともっとわかるところや、勘違いしてたところもわかるかも!早くみたいな!楽しみ!


1クロードと一緒に……「彼」の動機:愛への殉じ方について

異なる生い立ちをもつ二人が、お互いを通して「愛」を見出す……みたいなの嫌いな人いるの!?(突然の問)

男娼の「彼(イヴ)」にとってはセックスは楽しくはあるものの、「お金のため」という価値観でした。それを変えたのが、クロードだったとおもいます。彼の恋の自覚は、「クロードが寝てしまった後にお金を置いて帰ったこと」であり、それが価値観の転換であったことは間違いありません。「彼(イヴ)」は早くに家族を亡くした(しかも死に目に会えなかった)男娼、クロードは実家が裕福なインテリの大学生と、生い立ちは異なるものの、2人の関係はうまくいっていたような第一印象でした。うっ、横で本を読んでくれるクロード尊くない……???
ただし、「クロード」は劇には出演せず、刑事の調べた内容や、「彼(イヴ)」の主観的な語りでしか知れないことから、ハラハラとしたことも事実です。 クロードの日記に毎日「彼(イヴ)」のことが書かれていることから、クロードにとっても大きな存在であったことは間違いないものの、内容は暗号化されていて本心が掴めなかったこと、そして、クロードには「彼(イヴ)」の他にガールフレンドがいて、クロードはそれを刑事から知らされショックを受けていたことを考えると、少し不穏な気持ちにもなりました。
しかし、ただ「本当に愛していたのか?」という点においては、私はYES派です。いや、YESであってくれ……!(性愛、兄弟愛……種類はたくさんありますが)
冒頭に「彼(イヴ)」が語っていたクスリの幻覚だとおもわれていた、「目の前の映像が消えた」という表現が、クロードがいなくなったことによる未来への希望の喪失だったのだと感じたことと、後述の殺した動機が根拠です。
そしてクロードを語るときの「彼」の甘やかな表情よ……

恋をした瞬間に世界が変わるの、2010年代の宇多田ヒカルの歌詞みたいな恋してんじゃん……ヒューッ!「明け方の一番の光」(うろ覚え)って表現したときに、すごく……なんていうか本当に尊いな……とかんじました。
刑事が苛立ったり先入観で責め立てている間は、時間稼ぎをしている(んだよね?)のに、
舞台の最終、判事が使えないとわかった瞬間、切り替える鋭さもゾクゾクしました。
しかも、「諦めた」と口では言うのに、クロードに〝殉じた〟と感じさせるのが凄まじいな……

※横道ですが、刑事さんが、「彼(イヴ)」が動機を吐露するシーンでは、よろこびではなく、悲しさや虚しさを見せていたように思います。「彼(イヴ)」の動機が、過程こそ常人には突飛に思えるかもしれないですが、根本は「愛している」というシンプルなものだったからかもしれません。激しく会話を応酬してきた「彼(イヴ)」と刑事の間には、不思議な関係性ができていたようにおもいますが、わたしにはまだ言語化することができません。。。


<動機について>

「彼(イヴ)」がクロードを殺した動機は、言葉では「愛している」と表現していました。
初めて愛する人を見つけ、相手からも大事にされたり(具体的には、優しいキスをされる、お風呂を入れてくれる、料理やワインを振る舞ってくれる、無理にセックスをしない、セックスするときは心が通じる、本を読んだり貸してくれる、など)したことで、最高の幸せを感じていました。
そして、殺した場面は、セックスの間、心と体が完全に通じ合い、そして"爆発"に至った瞬間に、ナイフで彼の喉を刺したというシチュエーションです。

わたしの動機の解釈は2つの方向性があって、その2つのバランス感に迷っています。


    1. 〝幸せ〟の取り扱い方の技術不足
      最初に感じたのは、クロードの生い立ちから「最高の幸せを感じたことで止めてしまいたい」という、ある意味、【幸せを取り扱う人生経験の未熟さとそれに伴う哀しく愛しい運命】でした。
      完全な幸せを感じた一方で、「彼(イヴ)」は少年で人生経験も乏しく、大事な家族を早く失っている経験から、「相手を愛する方法」について無知でありました。そのため、「完全な幸せ」を感じたあと、次の日からの今までの生活が無価値に思え、「幸せの頂点」ですべてを終わらせたい、この瞬間に死にたいという衝動からの行動だと思っていました。最初は。
      しかし
      最初は短絡的に思えたこの行動……待てよ? その後に冷静に判事のオフィスを乗っ取り、マスコミを牽制した手腕を考えると、それだけの理由ではないように思えました。
    2. 同化 の瞬間の通電
      なので加えて 殺した場面のシチュエーションを考えると、「彼(イヴ)」はクロードの心身との同調を感じていたことが重要なんじゃないかと思いました。
      また、殺した後も血を飲み、傷にキスをしたことは、同化したことの誇りすら感じます。
      もしかしたら、「彼(イヴ)」は「クロードはこの瞬間に死にたがっている」と感じた(なんならそれをクロードは「彼」に望んでいる)のかもしれません。
      自信はないんですが、クロードの日記には、金銭的に不穏な兆候が描かれていることと、劇中で当時のゲイであることに対する社会の厳しい風潮に触れられたこと、彼はブルーブラッド(貴族の系譜)で、ゲイであることに厳しい目を向けられるであろうと背景を考えると、希死念慮はありえるはなしです。
      (それだけではなく、1に書いたような、「幸せなこの瞬間で、もういい」と思えるような幸せをクロードも感じていたのではないかとは思いますが!)

      ※追記24時間経ってふとおもったんですが、両親から引き継ぐ資産はあったはずなのに、クロードが金銭的に細かくなっていたの、ゲイとして生きる際に親から勘当されたりすることをそうていしていたのかな イヴとの未来を考えていた1か月かもしれない
      ※7/3 追記そういえばナイフに指紋がないのは確か柄がボコボコだから残りにくかったみたいな感じなんでしたっけ?
      刺したのがイヴだとしても、クロードだとしても、彼らはシンクロしてたからどっちでもいいのかもしれないって余地が残るなあおもろ!


私が好きなカップルの関係性の要素の一つに、 「片方が、相手の尊厳を守るために戦う」というのがあるんですよね。
「彼」は、「クロードが、クロードであるための行動」をしていると感じました。
それが「クロードと一緒に」なんだと。多分、死んでしまった後も……クロードの「ありかた」とともに生きて行ってるんだなあ……
願望も含みますが、そんなことを考えて、くるおしく、愛おしい話だなと感じました。



1私が初見で見落としていたこと(パンフ情報)

 

  • 「二人目の客」 が判事だったこと
    言われてみりゃそうだな~~~~!つながりしかない。これは刑事さんの予想にミスリードされていた気がする。
  • マスコミをとどめていた理由
    ここはイヴの愛情を私が侮っていたなとおもいました。イヴはクロードを誰にも消費させたくなかったんだよね。。。自分たちの関係は誰にもわからなくていいと思ってるかもしれないけど、クロードの人間性を守るためには戦うんだ。パンフに書いてあったのみて クゥ~~~ッカ~~~!!ってなりました

1その他

 

  • 小道具・・・木馬があったのがなんか進撃の巨人……ってなっちゃった。幼児性の象徴かな。
  • タバコ・・・アナウンスで「医療用で害がないもの」って聴いたときに、副流煙におもいいたらず不思議だな~っておもってた。でも、アンニュイな空気感の演出には最高だったと思う。
  • なんかいいにおいした!タバコ……ともう一種類あったような? マスクしてたから鈍かったかな~